「あんたもあれかい?Twitterかい?」
そう言って部屋に入ってきた女性は、どこかくたびれた気怠そうな声でそう言った。
『M感風俗で前立腺を責められた話』
路駐で6時間というクソ迷惑な睡眠から目覚めた僕は、並々ならぬ前立腺への刺激欲求に駆られ、気付けばM感デリバリーヘルスに予約の電話をしていました。今思い出しても何故あの状況であれだけの尻穴刺激願望が発生したのか未だに謎なんですが、実際そうなってしまったものは仕方がない。ちなみにこれは3年程前の話です。
この時予約した娘の名前をそうですね…Mちゃんとしましょうか。まぁMは僕の方なんですけどね。やっぱり紛らわしくなりそうなんでやめましょう。Aちゃんにします。
Aちゃんはこの時期、その店では人気絶好調だったそうです。それもそのはず、Aちゃんはこの時期、その名前の特殊性からプチバズっていて、気になった方々がこぞって指名すると言う状況でした。そんな連中の例に漏れず、僕も指名した理由の一つがその知名度でもあります。
と言ってもそのお店自体は元々気になっていたので、どうせ呼ぶなら話題性のある子にするかと言った割とソフトな理由です。別にその子じゃなくても問題はなかったと言うか、いたらいいなぁくらいのものでした。
そんな人気っ子のAちゃんですが、先約がいて時間は遅くなったものの、無事に予約する事が出来ました。気になっていた前立腺風俗に、話題性のある娘。僕のテンションはうなぎ上りです。ウキウキで駅近のラブホテルに入ると、受付にカップルが3組ほどいました。こっちは当然1人なので、つがいで来る筈のラブホテルで奇数人が発生するという本来なら有り得ない状況に。さっきまでのテンションもこの瞬間だけは嘘のように落ちました。なんだよ、笑いたいなら笑えよ。
そんな居心地の悪さから逃げるようにエレベーターに乗ります。既にカップルが1組乗っていました。彼氏さんが【開】ボタンを押してくれていたのですが、その辺の気遣いもなんだか心に刺さりました。惨めだ…でも軽く会釈はしました…
狭い密室に男 男女の3人。だからなんで奇数になるんだよ…
そして無事(?)部屋にたどり着き、お店に部屋番号を伝え数十分。物語は冒頭に戻ります。
黒髪のロングヘアー。顔はもうおぼろげなんですが、可愛い系というより綺麗系のスラっとした方です。この人が今宵自分の菊の花を開花させる花職人さんか…とドキドキするのも束の間、冒頭に書いたようにめちゃ低い声でそう質問されました。その様はまさに姉御という表現がピッタリで、僕のドキドキは全く別のタイプの心音となって内側からこれでもかと乱れ打ち。ちょっと怖かった…
前述したようにAちゃんはTwitterで人気が出てた時なので、そこで知った客がわさわさと詰め掛けたんでしょうね。何回もそういう自己紹介をされ辟易していたのか、僕に対しては初手、自らその話題で主導権を握りにかかってきました。将棋とか強そうですね。
なので僕も反撃です。確かに名前を知ったのはTwitterでしたが、お店自体は前々から気になっていたので、決してTwitterで目に入ったからだけと言う理由ではないです と。
話題性目当てのそこらのミーハーと一緒にされては堪りません。僕は純粋に女性に肛門を刺激されながら情けなく射精がしたかっただけです。親からしたらこんな子供の存在の方がよっぽど堪らないと思います。この辺りの性癖は墓まで持っていきます。悲しませたくない。
その辺の下りを伝えると、彼女は「そうなんだ」と言ったような…特に興味も無いような返事したようなしなかった様な…この辺は大分うろ覚えですね。
その後、ベッドに腰掛ける僕の横に彼女も座ります。彼女は「アンケート取るから」と鞄からクリップボードを取り出すと、僕に色々と質問を始めました。
知らない方に説明すると、風俗にはプレイ前にアンケートをする所があったりします。内容は自分の性感帯、好きな体位などで、その人の好みを事前に知りプレイに生かすと言う実にプロ意識の高いものです。関係ないですが僕は以前このアンケートの備考欄に、特にありませんと言う意味で『とくに』と平仮名で書いた所、字がくそ汚くて嬢に笑われた上、その後指名する度に「とくにさん」と呼ばれるようになった事がありました。懐かしい思い出です。今書く必要は多分ありませんでした。
話を戻して。そんなわけで彼女はアンケート用紙を片手に僕に質問します。今回は特色が特色なので、経験はあるかだとかおもちゃは使うだとかそんな質問があったような記憶があります。
そんな中で一つ、割と平凡な質問が。
ずばり、名前をなんて呼んで欲しいかです。
割とありそうな質問ですけど、僕は今回初めてされました。名前…やっぱりアナルって難しいですし、気分を高めたりと言った理由で名前呼びも重要になってくるんでしょうか?分からんけど。
そんな質問をされ、ふむ…と悩みます。
というのも、こういうのって何故か名前を言うのが抵抗あるんですよね。いや、とくに問題は無いはずなんですけど、名前を言うのはなんだかな…と言う認識が僕の中にあります。中には受付とかにも偽名使う人多いみたいですし。店員さんも「偽名でも構いません」と言ってくれたりするので、気にする方は結構多いのかもしれませんね。
偽名も特に思い付かず、まぁ名字ならいいかと思ったような記憶があります。冷静に考えて、名字だろうが名前だろうがフルネームじゃなければどっちを言っても変わりは無いはずなんですがね。この時何故名字なら良いと思ったのかは自分でも分かりません。
いきなり呼び捨てさせるのもあれかなと、まぁ無難な所で「篠崎くんで」とお願いしました。その瞬間彼女のワンオクターブ低くなった声が部屋に小さく響きました。
「下の名前は?(低音)」
「こうたです」
「ん、じゃあこうた君だね」
返事までの時間、一瞬。
反射的に答えてしまいました。やっぱ怖いよこの人…絶対元レディースとかでしょ…こんな威圧感で下の名前聞かれる事ある?
名字だけのつもりが予想外にフルネームがバレる事態になってしまいましたが、これはもう仕方がない。あの威圧感には逆らえません。可愛い名前して魔王ですよこの人。
そして一通りアンケートが終わり、彼女は「よし、オッケー」と紙を鞄にしまいます。そして僕に一言。
「じゃあ始めよっかこーちゃん」
アンケートの意味知ってます?
いよいよ本番という事で、僕は全裸になりベッドの上で四つん這いになっていました。対してAちゃんはブラは外しているもののパンツは着用、1番恥ずかしい部分を露出しているのは自分だけというまさに俺好みの状況に、これが昨今の大和男子です。
ブラ着用コースもあったんですが、流石にそれは恥ずかし過ぎたのかブラの脱衣は自らお願いしました。何やってんだよ。今だったらブラどころかスーツでバチバチに身を固めた状態でやって欲しいですね。また話逸れそうなんでこの話題には言及しません。
「せめてブラだけでも…」とブラを外させた僕の姿は、「せめて右腕だけでも…」と実力が格上の敵の腕を折る主人公の様ですね。結局話逸れました。だから話が長くなるんだよ。
閑話休題。尻アソビ(スタジオマウス)をする上で大事な出だしが洗浄です。まぁこの辺は詳しく書かない方がいいですね。要するに浣腸です。
僕がベッドに四つん這いになっているのもそれが理由てすね。尻をAちゃんの方へ向けその時を待ちます。人にしてもらうのは初めてなので、羞恥心と言うより緊張感の方が凄い。
「じゃあ行くよ、力抜いて」というAちゃんの声と共に、尻に異物感を感じます。これはまた…なんとも…うまく説明出来ない気持ち…
無事に浣腸が終わり待機。しばらくすると、徐々に腹痛が現れ、痛みはどんどん膨れて行きました。べ、便所に行かねば…
トイレに向かおうとすると、Aちゃんが「まだダメ」と言いながら立とうとした僕を四つん這いのまま静止しました。まだダメって何?既に導火線に火は付いているのだが?
彼女は「まだまだ〜、うふふ」と笑いながら優しく僕の全身を撫で回します。その手は次第に性感帯へ移っていき、最後は僕の胸や股間を刺激し始めました。
が、全く気持ち良くはない。いや、気持ち良くないわけではない。ただその感覚が楽しめる程余裕がないのだ。
当たり前だろう。彼女が僕の体を撫で回している間にも腹痛はどんどん増していき、電車の中だったら諦めてTwitterに遺書を書くレベルにまで膨らんでいたからだ。快感を愉しむ余裕なんざ1リソースも無い。ふざけるな。
ここで一つ分かった事がある。人間、性感帯を刺激される快感よりも脱糞の危機に瀕した際の焦燥感の方が圧倒的に上という事だ。こんなに感じない愛撫は初めてだ。なんでもいいから早く便所に行かせてくれ…
流石に笑えないレベルになってきて「いやそろそろやばいから…」と言うも、彼女は「ダメダメ〜」と楽しそうに愛撫を続けた。いやマジで洒落にならんて、後悔するぞお前…
そんな極限状態の中、僕の中に一つの疑問が生じる。
股部の下に置かれたシート
便所に向かわせない
終わる事のない愛撫…
いや、まさかそんな…いやでももうそれしか考えられない…!僕の中に生じた疑問は確信となり、僕は彼女にこう尋ねた。
「ここで出せって事ですか?」
「そんなわけないでしょ」
そんなわけなかった。
この質問の後に、無事行かせてもらえました。(流石にヤバイと思ったのかな)
洗浄も終わり、今度は股を開いて仰向けになっていました。初夜か?
その股の間に彼女が座ります。彼女はバッグをゴソゴソと漁ると、中からエネマグラを出しました。
いやいや俺今回初めてなのにそんな道具使うの!?と内心焦りましたが、彼女はそれを横に置くと、今度はゴム手袋を取り出しました。そしてニヤッとした顔で
「道具は使わないよ。こっちの方が得意だからさ」
と、そう言ってゴム手袋を装着しました。M男には分かるでしょう。この時生じた天を突くような期待感を。堪らなかった。
手袋をはめた彼女の指が、僕のアスホールにあてがわれます。そしてゆっくりゆっくりと彼女の指が侵入するのがわかりました。まだ慣れていないせいか、快感よりも不快感の方が若干デカい。
それでも僕としてはこの恥ずかし過ぎる状況に大満足でした。まさか20中頃に差し掛かろうと言う年齢でこんな辱めを受けるとは…心底生きていて良かったと思いました。これでいいのか俺の人生。
しばらくあれこれ続けてもらい、僕の快感の波はどんどん迫り上がって行きます。仰向けに足を上げ赤ん坊のようなポーズを取りながら、尻とイチモツを同時に刺激される。男として最上級に情けない格好です。
そんな状況の中、Aちゃんはトドメの一言とも言える言葉を放ちました。これは本当に天才だと思います。それがこちら。
「こーちゃんはさ、同い年の女にこんな事されて、どんな気分なの?(笑)」
これは…ヤバかった。本当にヤバかった。
そう、アンケートの際に知ったのですが、Aちゃんは僕と同い年だったんですよ。同い年…同い年はやばくない?
もしも育つ地域が被ってたら、一緒の班で給食を食べていたかもしれない。
同じ部活で3年を共にしてたかもしれない。
同じ教室で、普通に雑談とかしてたかもしれない。
同い年って、つまりそう言う存在なんですよね。そんな可能性も存在してたかもしれないわけですよ。
そんな存在にですよ?僕は今、情けないポーズをさせられ、尻をいじられ股間をいじられ、余裕のない顔を見られているわけですよ。それも半笑いで。こんなんお前…耐えろって方が無理だろっ!!!!
気付けば僕は全てを解き放ちその場で果てていました。「お疲れ様」と彼女は手袋を外し、その後は2人でシャワーを浴びました。確か(うろ覚え)
その後着替えて一服しながら、名前の由来について尋ねます。やっぱりそっちもそっちで気になるもの、理由を尋ねずにはいられませんでした。
すると彼女はポツリポツリと語り始めます。あんまり詳しく書くのもアレなので省略しますが、結局のとこ恋愛絡みのようでした。
その辺の経緯を聞いた上で、どうだと思う?と、気付けば恋愛相談という形になっていて非常に困惑した記憶があります。
それもそうでしょう。さっきまで嘲笑的な笑みを浮かべながら自分のケツ穴を蹂躙していた女の恋愛相談を受けているんだもの。これには脳が著しく混乱しました。
それにこんなニッチな風俗に来ているような奴に恋愛相談なんてするんじゃないよと思いましたが、とりあえずその辺は頑張って真面目に答えました。一応納得はしてくれたみたいだけど、実際どうだったんだろうな…
そして時間が訪れ部屋を出ることに。正直この辺の記憶は全くないです。隣の市に行ってラーメンを食べた記憶はバッチリあるんですけどね。やっぱ風俗の後はラーメンですよ。友達がいたら尚良し。
のれんをくぐってカウンター席に座り、ラーメンを啜ります。
そしてまだ残る尻の違和感を感じながら、友人にLINEで感想報告したとさ。
終わり。