この前『空の青さを知る人よ』を見ました。大人と子供、それぞれの感性を交えた青春劇、それらのシーンを印象付ける巧みな演出の前にすっかり虜に。ここ最近観た映画で1番刺さったかもしれません。ちなみにこれを観る前は『ジョーカー』を観たので今僕の情緒はグチャグチャです。頭の中は夢と希望と貧困層と死。格差社会の縮図かよ。
さて、というわけで今回は映画の話です。映画というか『空の青さを知る人よ』の話ですね。マジでエモエモのエモだったんで全人類に観てほしいな〜と思いつつも、今回は紹介日記というよりただただ自分が良いと思ったシーンを垂れ流す頭の屁みたいな日記になる予定です。オタクの早口ってやつですね。黙れ。悪口だぞ。
なのでバチバチにネタバレを含んでいくのでこれから観る予定の人はブラウザのバックボタンを押して今すぐレイトショーを調べてください。「へ〜、そんな面白い映画なんだ」って思ったそこの貴方もです、今すぐレイトショーを探してください。特に興味が湧かない貴方。今すぐレイトショーを探してください。そして観てください。絶対面白いんで、後悔させないんで!もしも万が一面白くなかった時はアレですよ、その……アレ。…ごめんね。
というわけで行ってみましょう!しゅっぱーつ!!(虹色の時空に消えていくバス)
大人の恋愛と子供の恋。夢と現実が入り混じる青春劇
はい。というわけで着きました。どこにって?26歳独身男性の部屋です。映画館だと思った貴方は映画館は時空を超えてバスで向かう物ではないという事を覚えて帰ってくださいね。向かう先はただの地獄です。勉強になりましたね。なんの話してるんだろう。
さてさてそんな茶番は置いといて本題の話になるんですが、冒頭でも書いたよう今作はかなーり刺さりました。ぶっちゃけ天気の子よりも個人的には面白かったですね。ここでアニメ映画の比較対象に新海誠作品…というか特定の作品を上げるのは失礼な気もしますが、そんな大ヒットアニメと比べても内容は遜色なかったと、そういうニュアンスで捉えてくれるとありがたいです。
今作の制作チームである『超平和バスターズ』と言えば、言わずと知れた超有名アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』の原作として知られていますね。また、2015年に上映したアニメ映画『心が叫びたがっているんだ』も原作はこの制作チームです。なので今作はそんな超平和バスターズの3作品目という事になりますね。
僕は前2作品とも観たんですが、正直めちゃくちゃ良かったか…と聞かれると個人的にはそこまでなんですよね…(当然面白くはありました)
『あの花』は結構勢いというか…(ああ泣かせに来てるなぁ)って感じの表現するじゃないですか、その辺があんまり合わなかったのかなぁって感じはします。むしろ序盤でだんだんまた当時の友人達と打ち解け始めるあたりの方が個人的に好みです。終盤なんかはもう中々なあからさまですからね。まぁめちゃくちゃ泣きましたが。
次作である『ここさけ』は正直あんまり内容覚えてないんですよね…まぁあまり刺さらなかったのも覚えています。はっきり覚えているのは序盤も序盤である、知らない女とラブホテルから出てくる父親を見た幼いヒロインが、それを母親に報告するシーンです。お城型のラブホテルから出てきた父親を「お父さんは王子様だった!」と料理する母親に報告する娘、包丁の手が止まる母親、胃がねじ切れる俺。共感性羞恥持ちにあのシーンは地獄以外のなんでもありませんでしたね…思い出すだけで吐きそう…
まぁそんなわけで前作2作品はそこまで刺さらなかったので、予告を観て(ちょっと面白そうかなぁ)と思いつつも、正直観る気は無かった今作品なんですが、フォロワーがめちゃくちゃ良かったとツイッターで書いてるのを見て、やっぱり観てみようの視聴したところ、まんまと刺さって映画館を出る羽目になりました…いや今回のは本当に良かった…
まず今回良かったなぁと思った要素の一つに、大人の恋愛を入れた事もあるんですよね。特に慎之介。
今までの高校生達による青春劇だけでなく、そこに大人の青春劇も加えて、更にそれらをいい塩梅に混ぜ合わせたのが今作の見所であり、また基本となる部分であると思います。
序盤はそれぞれキャラがどういうポジションなのか、ていうのが分かってくる作りですが、この辺は特に慎之介の心情が刺さりましたね。あれは大人の目線で観てしまうと一方的に慎之介を叩くことは出来ません。
慎之介が出てくる前に過去の自分でもあるしんのが出てきますけど、それがまたいい対比になるんですよね。あれは分かりやすかった。
しんののバイタリティ溢れるあのキャラクターがあったからこそ、その後出てきた慎之介のギャップが鈍く光ります。
特にあかねに言い寄って幻滅されるところは良かったですね…しんののキャラクターを考えたら、まず会う事すら嫌がる筈です。自分にその資格は無いと。でも慎之介は酔った勢いで言い寄ってしまうんですよね。しかも断られた際には「その歳で勿体つけんなよ』とか「減るものじゃねぇだろ」と言ったクズ男の参考書に乗ってそうな台詞を吐き出します。中々素質ありますね。
この台詞もポッと出の男キャラだったらクズ男の一言で終わるんですが、ここに至るまでにしんのの性格がわかってしまっているので、いかに慎之介がその後擦り切れながら生きてきたかってのが顕著にわかるシーンになってます。終わって振り返ってみるとかなりいいシーンでしたね。
その後も思ったよりベースが上手かったあおいを見て機嫌を損ねたり、八つ当たりじみた文句を言い始めたりと、当時のしんのを考えると信じられないようなキャラクターとなっております。うーん、人間臭くていいですね。
ただ大人になってくるとこの辺の気持ちも分からんでもなくなってくるんですよね。当時はまだ夢に溢れてて、ひたむきに努力をして、でも社会ってそれだけじゃなくて、色んな大人の事情を前に挫折して。そんな時にまだ社会を知らない子供に、どうだと言わんばかりの気概を見せられてもイラついてしまうものなんですよね。(社会ってのはそんな甘くねぇんだよ!)みたいなね。
そしてあかねに言い寄るシーン。あれも何もかもどうでもよくなってしまった極地だと思います。「ビッグなギタリストになって攫いに戻る」予定が、夢とは程遠い現状である上に酔った勢いでセックスオファーとか言うもうどうしようもなくダメな状況ですからね。びっくりするくらいの落差。
でもその落差に1番不快感を感じていたのは慎之介自身だと思うんですよね。その心情を色濃く視聴者に伝えるためにも、事前に過去のしんののキャラクターを印象付けてから慎之介を出したのは、素直にうまいなぁと思いました。
ただそんな慎之介、中盤でちょっと当時の自分に戻るじゃないですか、そう、階段であかねと2人きり、弾き語りを披露するあのシーンです。
あそこの何が良かったって慎之介が全く別の道に一歩踏み出そうとしたところですよね。自分の身の丈を受け入れかけたあの瞬間です。
一応音楽で食えてはいるけど、それは望んだ夢とは全然かけ離れてて、でももう自分も31歳で、このまま死にながら生きているよりはここらで落ち着いた方がいいのかもしれないと一歩踏み出しかけた慎之介の心情は、「そんな事言うなよ」と声を掛けられるほど単純なものではなかったと思います。
でもあかねさんは言うんですよね。「今時30過ぎなんてまだまだ若造。私だってまだやりたいことは諦めてない」って、かっけ〜…
18歳で両親を亡くして、妹といる為に当時の恋人(しんの)との東京進学を辞めて地方公務員に勤めながら、女手ひとつで妹を育てた女が言うと重みが違いますね。今作品で1番出来た人間ですよあか姉は。
そんなあかねさんの助言もあって、慎之介は落ち着くのを思い止まります。そして練習があるからとその場を後にした後に、あか姉が泣き出すシーンがあるわけですが、やはりここのインパクトが強いのは、ひとえにそれまで映っていたあか姉は強い女性だったからでしょう。
おっとりした優しい女性でありながら、慎之介が帰ってきた時や、それを黙っていられた時、あおいが激昂するシーンなどでは憤ったり困ったりはすれど、決して泣きごとや弱音を吐いたりするシーンは無かっただけに、ここで誰にも見せてこなかった弱さが露呈するシーンは、観ている方は中々辛いものがありました。
多分あかねは、慎之介にいつまでも夢を見てて欲しかったのかなぁなんて思いました。そして、でっかくなった慎之介に、何もかも奪って欲しかったのかなとも思ってみたり。
慎之介ではなく妹と共にいるのを選んだのも、そんな妹を育てる為故郷で落ち着いてるのも、全部自分で選んだ事で、当然後悔なんてなくて、満足はしてる筈なのに。
それでもやっぱり、それらを全部ひっくるめて幸せに攫ってくれるかもというか、あかねもあかねで慎之介に夢を見てたんじゃないかなぁなんて思いました。だからこその、慎之介が落ち着こうと決めかけた時に見せた悲しい顔だったんだと思います。視聴者目線の感想ですが、エモい。
そんなあか姉の泣き顔を見てしまったあおいの気持ちもよく分かります。(あか姉って、ああやって泣くんだ)、この一言に、あかねが今までどれだけあおいの前でお姉さん件親をやってきたか分かりますね。この瞬間、あおいの中であかねは頼る事すら当たり前になってしまっていた大人から、自分と何も変わらない、辛い時には涙を見せてしまう等身大の人間へと変わってしまいます。それを更に決定付けたシーンが後のノートの所ですね。あれは泣いた…
さて、思ったよりも長文になってしまったのでメインの話をしましょうかね。
やっぱり今作で1番良かったのはクライマックス、あおいとしんのがトンネルに閉じ込められたあかねの元に向かうシーンです。
しんのがお堂から出るシーンに合わせてギターの弦を切る演出は鳥肌もの。そこから今作主題歌でもあるあいみょんの『空の青さを知る人よ』をBGMに、軽やかに真っ青な空を翔けて行くあおいとしんのの下りは感極まって涙が出てしまいそうになります。あのシーンだけでも10回は観たい。
内容に触れた話ではないんですが、こう言う物語の見所シーンに歌を被せるやり方は堪らなく好きですね。新海作品とか、後は僕の大好きなアニメに『空よりも遠い場所』ってアニメがあるんですけど、これも音楽の使い方やタイミングが完璧過ぎて最高に最高(語彙力)なので大好きですね。それだけでなく内容もマジの傑作なので、観たこと無い方は是非観てみてください。(突然の宣伝)
そしてなんといってもラストシーン。「泣いて、ないしっ!!」と涙を堪えながら1人走るあおいは、一層強く吹いた風を受けてしんのが消えてしまった事を悟ります。そしてその場にうづくまるもすぐ立ち上がりため息、そして
「あー…空、クッッソ青い……』
この一言でエンドロールに入るのマジでエモエモのエモじゃないですか!?いやここはもう本当に最高でしたね。間違いなく作中で1番好きなシーンです。
こういうセンスある一言で終わらせるの凄い好みなんですよ。『パプリカ』なんかそうでしたけど、その後のめちゃくちゃ余韻に浸れてただならぬ幸福感を感じてしまうんですよね…小説みたいで好き…
そんな完璧な終わり方だった所為か、エンドロールに写真て形でその後のストーリーを描写したのは賛否両論らしいですね。蛇足だとか。まぁあの終わり方でバッチリ締めたい人の気持ちを考えると分からんでもないですが、でもやっぱり僕はあのエンドロールも素晴らしいものだったと思います。
なにより最後の方、慎之介と結婚したあかねとあおいが手を取り合って泣いてる写真。あれ観た時心不全起こすかと思いました。あれはマズイって。
今まで泣き顔を見せてこなかったあかねと、強がって泣くのを我慢してきたあおいがあんな風にお互い泣けるようになったのは、お互いそれぞれがキチンと道を進めた証拠であり、それを感じた僕はなんかこう…つまり…すみません…少し泣く…(例の画像)
とまぁこんな感じで、最後まで胸いっぱいに楽しめた『空青』でした。他にも語りたい事いっぱいあるんですけどね。文字だと途中で疲れちゃうし、観た方今度飲みに行きましょう…それまでにもう一回見たいな…
駄文を撒き散らしましたが以上です。最後まで読んだ人は少ないとは思いますけど、ここまで読んでくれた人は自己満オナニーに付き合ってもらっちゃってすいません…そしてありがとう。そして万が一ここまで読んでまだ観てない人、今すぐ時間を調べてください…そして時間を見つけて観に行くんだ…義務ですよ…
つーわけで以上です。終わり。おやすみ。
小説も出てるっぽいですね。買うカァ…